オーストラリアの新しい研究によると、ビルベリーとブラックカラントのアントシアニンを毎日摂取することにより、メタボリックシンドローム(MetS)の患者が抱える心代謝リスク因子が減る可能性が明らかになりました。
メタボリックシンドローム(MetS)は、中心性肥満、高血圧、およびグルコースとインスリンの代謝障害を特徴として持つ状態のことを言います。このシンドロームにより2型糖尿病と心血管疾患、両方のリスクがより高まる傾向にあります。
1日あたり640 mgのアントシアニンを4週間摂取したところ、平均血清空腹時血糖値が低下(13%)し、MetSグループでは基準値と比べトリグリセリドが25%、LDLコレステロールは33%減少しました。
アントシアニンを摂取したグループの女性も、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)のレベルが平均28%減少しました。この研究では、MedPalett PharmaceuticalsとBiolink Groupがノルウェーで製造されたベリーとカシスの抽出物を使用しました。
「最近の研究結果では、アントシアニンを4週間体内に取り込むことにより、心代謝リスク因子と血小板活性に好ましい効果が得られた」、とグリフィス大学の科学者は雑誌Nutrition Researchの中で述べています。
「さらなる解析が進み、代謝マーカーの上昇を伴うMetSグループが心代謝プロファイルにおいてより優れた効果が期待されることを示唆しました。したがって、予防的アプローチとして、ベリーに含まれる豊富なアントシアニンはMetSグループにおけるアテローム性動脈硬化の進行を阻害する可能性があります。」
研究詳細
研究者らは、25歳から75歳までの55人を治験者として採用しました。これらの治験者を、健康グループとメタボリックシンドロームグループに分類し、アントシアニンサプリメントを28日間摂取してもらいました。それぞれのグループで治験開始時と終了時に心代謝バイオマーカーを測定しました。
この研究にはプラセボ群はなく、研究者たちは、今回の研究における大きな制限の1つであると指摘しました。
結果は、LDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルへの好ましい変化に加え、アントシアニンの摂取により、基準値と比較して、総コレステロール値が14%減少したことが分かりました。
さらに、研究者はアントシアニンサプリメントを摂取したMetSグループは、P-セレクチンとして表されるADP誘発血小板活性化構成が40%減少したことを報告しました。
一方、正常/健康の治験者においては、これらの測定値に有意な変化は見られませんでした。
「研究結果からアントシアニンのサプリメントは、MetSグループにおける血小板の過剰活性化と過剰凝固のバイオマーカーを下げる可能性があることが明らかになりました。血小板の活性化、酸化ストレス、および炎症は、特にMetS集団において血栓形成が促進を引き起こす重要な要因です」と研究者らは述べています。
出典:Nutrition Research
Volume 76, April 2020, Pages 82-93. doi: 10.1016/j.nutres.2020.02.011
“Antocyanins in berries exhibited anti-atherogenicity and antiplatelet activities in a metabolic syndrome population”
Authors: A. Aboonabi et al.
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