糖質(グルコース)代謝

ニュージーランドカシスによる糖質代謝の改善

糖尿病の発症率は、炭水化物の多い食事など現代的ライフスタイルの影響で増加の一途をたどっています。また、血糖値の上昇が糖尿病性合併症を誘発しかねないことも分かってきました。食後の血糖値は、以下のような要因によって左右されます。

  1. a-グルコシダーゼとa-アミラーゼによる複合糖質の分解とグルコースの生成
  2. 体内の組織が糖質を吸収するのを促進する、血液中へのインスリン分泌

食後の血糖値を下げるための方法のひとつとして、a-グルコシダーゼやa-アミラーゼなどといった酵素を抑制することが効果的だと考えられます。そうした中、カシスなどのフルーツに含まれる特定の成分が糖尿病の予防に有効だという研究結果が近年発表されています。

カシスと糖質代謝

  1. グルコシダーゼの抑制:  下記表の研究では、アントシアニンを豊富に含んだカシスの抽出物を摂取することで、a-グルコシダーゼを抑制できることが確認されました。その抑制効果は、糖尿病の治療に使われる専門薬アカルボースを上回っています。

    Boath A, Stewart D, McDougall G (2012)  Berry components inhibit a-glucosidase in vitro: Synergies between acarbose and polyphenols from black currant and rowanberry. Food Chemistry 135:929–936

 

  1. アミラーゼの抑制: ニュージーランドカシスに含まれるアントシアニン・シアニジン 3-ルチノシドが、a-アミラーゼも抑制することが同じ研究で確認されました。
  2. 肥満のマウスに0.32%のニュージーランドカシスを含んだ食事を毎日与えたところ、糖質代謝に大幅な改善が見られました。
  3. 1mg/kgのデルフィニジン 3-ルチノシドを含んだカシスの抽出物をラットに投与したところ、グルカゴン様ペプチド-1とインスリンの大幅な増加が確認されました。

    Tani  T, Nishikawa S, Kato M and Tsuda T (2017). Delphinidin 3-rutinoside-rich blackcurrant extract ameliorates glucose tolerance by increasing the release of glucagon-like peptide-1 secretion Food Sci Nutr. 5:929–933
  1. 人間を対象にした類似研究では、炭水化物の多い食事を摂る前に600mgのニュージーランドカシス・アントシアニンを摂取することで、食後30分間の血糖値が大幅に低下することが実証されました。

    Castro-Acosta M, Smith L,  Miller R, McCarthy D, Farrimond J and Hall W (2016). Drinks containing anthocyanin-rich blackcurrant extract decrease postprandial blood glucose, insulin and incretin concentrations. J Nutr Biochem. 38: 154–161.

ニュージーランドカシスは、糖質代謝の調整に大きな役割を果たすことが実証されてきました。糖尿病など血糖値の上昇によって引き起こされる病気を緩和する可能性も指摘されています。